シンガーにとってギターは女房のようなもの、という人がいる。でも俺的にギターは女房じゃない。なぜって何台もギターがあって、それをとっかえひっかえしながらライヴをやっているからだ。つまり、愛人みたいなもの。
ギターには全部名前をつけている。だって愛人なんだし。
80年代からずっと使い続けていたTAKAMINE PT-406の名前は、マチルダ。大好きな映画『LEON』の女の子の名前。その子、ナタリー・ポートマンが後にアカデミー主演女優賞を取るとは思わなかった。
2000年くらいに購入したGibson DOVEには、キャサリンと名づけた。通称キャシー。キャサリン・ヘプバーンの凛々しいイメージから。
その後に購入したMartinの12弦ギターは、シャルロット。シャルロット・ゲンズブールの可憐な感じ。まあ、Martinはアメリカ製だけどね。
そして今、一番腕に抱き続けている愛人、Gibson J-45は、アンジー。アンジェリーナ・ジョリーのセクシーさから。
俺は愛人に対して決して優しくは接しない。「鳴れ! 鳴りやがれ!」と打楽器ばりに弾き倒す。最初は鳴ってくれなかったアンジーも、今ではセクシーな声を出す。
アンジーは2013年の秋に購入し、北は旭川、南は西表島まで旅をしてきた。まだまだ旅は続く。
photo : Yukari Watanabe
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