元The Conxのボーカル ムーニーが、還暦祝いにファンの人から赤いエレキギターをもらったという話を、30周年ライヴで一緒にやった頃に聞いた。
それを聞いたファンの人たちの中で「卓治の還暦プレゼントに、赤いテレキャスターを」という話が持ち上がった。11人の有志が5年かけてお金を貯めて、でも「テレキャスターよりも、いつも使うアコースティック・ギターを卓治本人に選んでほしい」ということになって連絡をもらった。それが去年のバースデイの頃。
ギブソン J-45を買った渋谷クロサワ楽器の池森さんに「鳴りのいいギルドがあったら教えてください」とお願いしていた。
持っているアコギで今ライヴで使っているのは、マーチンD-28、ギブソンDOVE、マーチンDM12(12弦)、ギブソンJ-45。ここにギルドが加わったら、最強のラインナップだ。ただ、ギルドは年代によってクオリティがずいぶん違うし、当たり外れがあるから、古ければいいというものでもない。
池森さんからメールが届いたのが去年の12/15。「ヴィンテージのギルドでお勧めのものが入りました」。アメリカから買い付けてきたものだという。1972年製だから、46歳だ。
会いに行った。こういうのを一目惚れというんだろう。腕に抱いてジャランと鳴らしただけで決めた。46年の間、どこを旅して俺の元にたどり着いたんだろうと考えると、熱くなる。
このギターの資料写真を、前もって有志のみなさんに送って「ギターに名前をつけてくれない?」と頼んでいた。
俺の歴代のギターの名前をあげると、マチルダ、キャサリン、エバ、アンジーなどなど。
考えてくれた三つから、こう名付けた。
スカーレット
「風と共に去りぬ」の主人公の名前で、
鮮やかな“赤”の名称でもある。還暦のプレゼントだしね。
ファンのみんなからギターをプレゼントしてもらう日が来るなんて。俺は何て幸せ者なんだろう。
最終調整のため、スカーレットが俺のもとに来るのは数日後の予定。3月の35周年ライヴに向けて相性を深めるために、1/20のharnessからさっそく使い始めるつもりだ。
クロサワ楽器には、デザイナーのコヤマ君も同行してくれた。その時の写真と、もう少しくわしい話を〈ONE〉に掲載しようと思っている。お楽しみに。
photo : Masashi Koyama