フィギュア・スケートの、男子シングルや女子シングルはもちろん感動したが、今まであまり熱心に見ていなかったアイス・ダンスで、感動的な演技に出会えた。
AOR(オリンピック・アスリート・フロム・ロシア)の、エカテリーナ・ボブロワとドミトリー・ソロビエフの演技だ。
今までのアイス・ダンスの印象は、美男美女が愛のシーンを表現して、最後は見つめ合うか抱きしめ合って終わる、というものだった。
2人の演技は、盲目の女性が男性と出会い、ある日突然目が見えるようになり……まあ解釈は人それぞれだから、興味があったら映像を見てほしいけど、演技の最後、2人はすれ違ったまま終わる。物語性と、間と余韻が美しかった。
フィギュア・スケートの話ばかりになってしまうが、演技の音楽として〈ハレルヤ〉が何度も使われた。レナード・コーエンが1984年にリリースした歌だ。
俺が最初にこの歌を聴いたのは、1991年にジョン・ケールがカバーしたテイクで、その時はまだレナード・コーエンの歌だと知らなかった。レナードの翻訳者の三浦久さんに怒られそうだ。
〈WIRED〉というサイトを見つけた。
このページには、レナード・コーエン、ボブ・ディラン、ジョン・ケール、ジェフ・バックリーなど、たくさんのテイクがリンクしてある。
名曲は、誰がどんな風に歌っても、絶対に伝わることがよく分かる。
それにしてもレナード・コーエン、かっこいいなあ。ちょっとアル・パチーノにも似てるね。こんな老人になりたいものだ。