市ヶ谷で電車を降りて、お堀に続く桜並木を歩く。五分咲きくらいかな。桜の下を歩くと、いつの間にか歩く速度が遅くなっていく。
法政大学はちょうど入学式で、たくさんの若者が集ってキラキラしていた。
俺も大学の入学式には出た。中退したから卒業式には出ていないけれど。俺もその頃はキラキラしていた、と思う。ただ十分に屈折だけはしていた。「何とかしなきゃ」と必死で思いながら、何ともならず、「こんな腐った街、すぐに出ていってやる」と毒を吐きながら、バイトを続けていた。
二十歳の頃まではキラキラだったが、いつの間にか、ギラギラしていた。
キラキラしたものに強く恋い焦がれながら、ギラギラする。それが俺のやり方になってしまった。曲作りのスタンスになってしまった。
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