2017年4月10日月曜日

庄野真代さんの姿勢

 4年ほど前、札幌のイベントに呼ばれた時、共演者に庄野真代さんの名前があった。かつて〈飛んでイスタンブール〉が大ヒットした、いわゆる歌謡界のシンガー。
 その他の出演者は、俺を含めてフォーク系の人が何人か。不思議な取り合わせのイベントだなと思っていたが、蓋を開けてみれば何のことはない、俺たちは15分ほどの持ち時間で、最後に庄野真代さんがたっぷり1時間ほど歌った。つまり俺たちはただのにぎやかしだった。
 歌い終えた俺は、客席の後ろで庄野さんのステージを聴いていた。ピアニストだけの伴奏で、まあ営業的な感じではあった。
 イベントが終了してMCがしゃべっている間に、庄野さんはステージ衣装のまま、ロビーの物販が並ぶテーブルに移動して、直立で立ち、三々五々帰っていくお客さんやCDなどを見るお客さんに丁寧に対応していた。
 その姿勢には感心した。

 俺は今までどうしていたか。
 楽屋でメンバーとしゃべりながらビールを飲んでふんぞり返っていた。サインも受け付けなかった。どこかで「俺たちゃロックだからよ」みたいに思っていた。奢りだ。
 今はライヴ後は、できる限りお客さんと向かい合うようにしている。そこでのおしゃべりの中に、次へ向けてのちょっとしたヒントを見つけることもある。


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