半分溶けて半分凍った道をヨタヨタとすり足で歩きながら、ふと昔読んだ短歌を思い出した。
体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ
穂村弘
図書館に寄り、『回転ドアは、順番に 穂村弘×東直子』を借りてきて読んだ。
短歌と散文を交互に綴る往復書簡のような構成で、男と女が出会って恋に落ちていく。言葉と言葉の間に体温や匂いを感じる。言葉数が少ない分、そこにイマジネーションが広がる余地がある。
歌もそうありたいといつも思っている。
ラヴ・ソングの歌詞でも、例えば「ぼくは きみを」と、そこに間が欲しい。
その間で、決心だったり、逡巡だったりを表現できる。
人はいつから、こんなに早口で恋をするようになったんだろうな。