池澤夏樹の『言葉の流星群』を読了。
一般的に「雨ニモマケズ」のイメージが強い感がある宮沢賢治の作品を、丁寧に、センテンスごとに、そのニュアンスを紐解いてくれる。
こんな1文があった。
子供の頃に夢中になって読んだ本は少なくない(中略)だが気がついてみれば最後に手にとってからずいぶん時間がたっている。(中略)それに対して、ぼくはまだ宮澤賢治を読み終えていない。
俺も同じだ。ふと何かのおりに読み返したくなる。賢治の本は相当読んだし、小説『明日なき暴走』ではたくさんの詩の断片を引用したりした。
まことのことばはうしなはれ
雲はちぎれてそらをとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ
遠くなだれる灰光と
歪んだ町の広場の砂に
わたくしはかなしさを
青い神話にしてまきちらしたけれども
小鳥らはそれを啄まなかった
きみたちとけふあふことができたので
わたくしはこの巨きな旅のなかの一つづりから
血みどろになって遁げなくてもいいのです
いまこそおれはさびしくない
たったひとりで生きて行く
こんなきままなたましひと
たれがいっしょに行けようか
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
ああ友だちよ
空の雲がたべきれないやうに
きみの好意もたべきれない
向ふにひかるのは雲でせうか粉雪でせうか
それとも野はらの雪に日が照ってゐるのでせうか
氷滑りをやりながらなにがそんなにをかしいのです
おまへさんたちの頬っぺたはまっ赤ですよ
引用したものは分かりやすいが、概して賢治の詩(彼はそれ心象スケッチと呼ぶ)は難解なものが多い。文字だけを追っていても理解できなくて、何度も読み返すことがある。
そして賢治の詩は音楽でもある。読んでいると、リズムや旋律が浮かんでくることがある。
密かな夢だが、仕事を全部うっちゃって、1年くらいかけて(なんなら日本を離れて)賢治の言葉に浸っていたいと思うことがある(筑摩書房から全集19冊セットが出版されている ¥158,062!)。
その詩、童話、言葉のひとつひとつを噛みしめるように読んでみたいと思う。
と、そんなことを夢想しながらも、4月以降のライヴのスケジュールがどんどん決まっていく。本当に嬉しいことだ。
詳細はまだ決まっていないから日程だけ書いておく。空けておいてね。
■4/12(土)福岡
■4/13(日)広島
■4/26(土)西荻窪
■5/10(土)一橋学園
■6/07(土)阿佐ヶ谷
■6/14(土)名古屋
■6/15(日)静岡
■6/28(土)いわき
■6/29(日)弘前
今年は、何としても富山へ行って「全県制覇」を目指したいところだ。
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