原田マハの『風神雷神』を読了。
この人は元キュレーターだけあって、絵画をモチーフにした小説は断然おもしろい。ピカソの「ゲルニカ」をテーマにした『暗幕のゲルニカ』、ルソーの絵をめぐる『永遠のカンヴァス』などなど。
この本の主人公はまだ10代の俵屋宗達。この人の作品は多く残されていて、「風神雷神」は国宝なんだが、生没年だけではなく、その生涯の記録はほぼ残っていない。だからこそ大胆なフィクションが可能になるんだろう。
織田信長に謁見し、信長の前で絵を描き、「宗達」の名前を授けられ、狩野永徳が描いた「洛中洛外図屏風」の助手を務め、天正遣欧少年使節と共にローマへ長い旅をし、まだ少年だったカラヴァッジョと出会う。
荒唐無稽だが、登場人物たちの表情までが生き生きと見えてくる。
Photo : Takuji
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