2023年2月7日火曜日

寄り添う歌

  若い頃は、自分のことばかり歌っていた。歌の中に登場するのは「俺」と「君」と「俺たち」(たまに、やつら)ばかりだった。

 若い頃は、自分のことだけ悩んでいれば幸せだった。

 歳を重ね、長い間歌を作っていると、世の中で起きていることと無関係ではいられなくなってくる。世界中にある哀しみや怒りや喜びや慈しみを歌にしたいと思うようになる。
 しかし、何かを代表する立場ではなく、あくまで個人のスタンスで。
 そこに哀しみがあるなら、「はげましの歌」じゃなく「隣に寄りそう歌」を作りたい。

























Photo : Takuji