短い休暇を過ごして帰って来た。
福岡と熊本でのライヴの感想をたくさんいただいた。とても嬉しい。
俺が常に目指しているのは、“圧倒的”なライヴだ。来てくれたみんなの心のドアを強く叩いて開く。そしてハグするように歌を届ける。一期一会であることを胸に、これが初めての出会いなら俺のすべてを、これが最後のライヴだとしても俺のすべてを、その1本をライヴにこめる。
今回のツアーでのエピソードを。
福岡のライヴに、俺が20歳前後の頃にバンドを組んでいた男が来てくれた。〈汚れたバスケットシューズ〉の「髪の毛だけは(ジャック)ニコルソンのケンジ」のモデルだ。
彼はSix Pines sandwichesのオーナーとは友人なんだそう。
お店の女性に「小山さんのファンなんですか?」と聞かれ、「いや、ファンというわけじゃ」。
俺も会話に参加して「俺が今まで組んだ中で、一番ヘタクソなギタリストでしたよ」。本人も同意。
そして彼に話した。
「今日歌った新曲〈冒険が始まる〉の歌詞『簡単なことに気づいた 金を稼いで 2人を食べさせていく それが俺の仕事』は、随分昔、おまえに子供が生まれた時、そんな風なことを俺に言ったんだよ。それを憶えてて歌詞にした」
30年以上前の話だ。
最近よく東京でのライヴに来てくれる若者がいる。彼は熊本出身で、お父さんの影響で俺の歌を聴き始めたとのこと。去年、熊本でライヴをやった時にその若者の話をしたら、ライヴ後に「私がその父です」と名乗り出てくれた。今回の熊本ライヴでは、その父とその若者が親子で見に来てくれていた。
歌は世代を超えていく。
Photo : Mari Ohkusu
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