ボブ・ディランがトラヴェリング・ウィルベリーズに参加した時も、こんなワクワクがあったんじゃないかな。
(トラヴェリング・ウィルベリーズ : ボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン、トム・ペティ、ロイ・オービソン、ジェフ・リンが結成した覆面バンド)
うまいシンガーやプレイヤーを集めただけで、いいバンドになるわけじゃない。お互いへのリスペクト、お互いへの様々な提案と、それを受け入れる懐があって、「このメンツならおもしろいことができるんじゃないか」から「このメンツだからこそできることを見つけた」までの短い1年を、白浜久 Projectは駆け抜けた。
これからが、バンドとしての本当の始まりだ。
新しく白浜さんがアレンジした〈逃げ出せ〉〈Rock'n Roll's Over〉〈Yellow Center Line〉は、80年代のアレンジを取っ払って、一番オーソドックスなロック・アレンジに仕上がった。王道のロックだ。
本番中はゾクゾクした。前日のリハーサル、当日のリハーサルでは感じられなかったうねりがバンドを動かしていた。プロは当然、リハーサルより本番で1段階テンションを上げる。そこで背伸びでも気負いでもなく、大きく安定したサウンドを作れるのがプロだ。
前日にがっつりリハーサルをしていたから、声帯がバンド仕様になっていた。
〈YELLOW WASP〉は、バンド・サウンドに押されて、思った以上に激しくシャウトする。その声に乗ったバンドがうねりを増して背中をグイグイ押してくる。まさに「押すなよ、絶対押すなよ」のギャグみたいに、どんどんシャウトが激しくなる。そしてバンドが吠える。
リハーサル通りのアレンジにはならない。ギター・ソロのフレーズが「もっと弾きたいんだ!」と主張すれば、バンドはそれに応える。「ここは16小節にしよう」と決めたことが、ステージの上で軽々とくつがえる。そんなインプロビゼーション(即興)が特徴のひとつだ。
そして、コーラス・ワーク。これだけのコーラスをやるバンドは、なかなかいないだろう。自称「コーラス・フェチ」という白浜さんが作ったコーラスは、たまにすごいスリリングなラインを行く。自分がボーカルを取らない時はコーラスで歌を支える。
そんなコーラスを可能にする、GBの音響がすばらしかった、足元にあるモニターの系統が多くて、それぞれのメンバーのモニターから自分に合ったバランスで聴くことができた。5系統以上あったと思う。普通のライヴハウスだったらそこまではない。
白浜久のProject Twitterで、少しだけライヴの動画を見ることができる。
ライヴに集中していて、ぜんぜん写真を撮っていなかった。白浜久 Projectをずっと応援してくれている、ジャーナリストの山田さんからお花をいただいていた。
photo : Takuji
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