2021年4月6日火曜日

アルバム・ジャケット撮影

  デザイナーのコヤマ君とイメージを出し合い、撮影に臨んだ。これまでとはまったく違うテイストの写真になったはずだ。

 以前「コヤマ君とは11年」と書いたが、とんだ間違いで21年だった。
 最初のCDデザインは、マキシ・シングルの《手首》だった。コヤマ君から「ジャケットに水晶を入れたい」とアイデアが出た。このマキシ・シングルは、ロンドンに滞在していた時に作った歌を収録することにしていた。ロンドンの博物館で水晶を買い、それを手元に置きながら作った歌だ。偶然だったが、それが必然になった。

 鉱物を手元に置いて創作することがある。小説『明日なき暴走』を書いていた時は、小説に出てくる琥珀をパソコンの横に置いていた。

 これは、30周年の時、コヤマ君が開催した「アートワーク展」のために書いた文章だ。

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「コヤママサシ 小山卓治アートワーク展」に寄せて

 コヤママサシが初めて開催するアートワーク展。写真展ではない。
 写っているのは僕だけど、すべてコヤママサシのフィルターを通したものだ。

 2000年にマキシシングルのジャケットで初めて組んで13年。僕はいつも彼に“圧倒的な”作品を要求し、彼は必ず最高のクオリティで僕の予想をはるかに越えてきた。
 そんな彼の仕事ぶりを、僕はよく「コヤママジック」と称する。それはもちろん「ちちんぷいぷい」とかかる、おとぎ話の魔法みたいなものじゃない。
 彼がこれまでやってきたことのすべてを注ぎ込んだ末に見えた、たったひとつの着地点が、作品として形になってきた。
 今日ここに展示されている作品も、誰も見たことのない高みを目指す彼がたどり着いた、デザインの山頂だ。そしてこれらの作品は、彼の次なる扉を開ける新たなデザインの一歩目になる。

 孤高のダンディズム。
 それはかつて僕がつけられたキャッチコピーだ。でもこれらの作品を見ていると、今のコヤママサシにこそ、ふさわしい呼び名のように思える。
 孤高のダンディズム。孤高の表現者。遠くを目指す者は、いつも孤独だ。その孤独が男を強くし、強靱な作品の源になる。

  小山卓治
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 今回の撮影には、GUILD F-47、スカーレットが初参加。


Photo : Takuji


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