2020年8月6日木曜日

イントロとアウトロ

イントロダクション【introduction】
導入 序論 序説 音楽などの序奏 物語の導入部
────────────────────────

 最近ちまたに流れているヒット曲は、イントロがないか、極端に短い曲が多い。サブスクで聴く人に一瞬でも早く歌を聴かせる戦略とか、カラオケで手っ取り早く歌い始めたいとか、まあ色々だろうが、イントロの存在がないがしろにされているように思える。

 俺のデビュー・シングル〈FILM GIRL〉のイントロは18秒くらいだが、それでも当時のAMラジオのディレクターさんに「イントロが長いね」と言われたことがある。例えば深夜放送の30分番組のゲストだったりすると曲が1分くらいしか流れないことが多かったから、18秒がもったいないということだったんだと思う。〈FILM GIRL〉のサビは1分28秒からだ。

 〈Passing Bell〉はイントロがない。あまりに曲が長いからということと、シンプルに始めたいというふたつの理由があった。
 逆に〈ひまわり〉のイントロは2分16秒。トータル・アルバムとして映画のオープニング・シーンのイメージで作ったから思い切り長い。
 初めてのミュージシャンと組んで〈ひまわり〉の音資料を送る時は、イントロが長いことを必ず付け加える。

 俺の考えだが、イントロは「この歌は、こういうカラー(メジャーかマイナーか、テンポ、曲が持つ温度)の歌だ」と、歌に入る前に紹介するものだととらえている。

 イントロに対してのアウトロ。
 アウトロとは「Intro」と「out」が合成された造語で、エンディングのこと。

 以前書いたかもしれないが。
 母が生前「あんたの歌は、歌が終わった後が長いのよね」と言っていて、当時は反発していたんだが、冷静に聴くと確かにアウトロが長い歌が多い。
 この一言は母の遺言のように残っていて、今は「歌いたいことを歌ってしまったら、とっとと終わる」ことを肝に銘じている。

photo : Takuji