《The Fool 35th Anniversary Edition》リリース記念ツアーの締めくくりは、新宿御苑 Rutoと新横浜 LiT。Rutoはソロで、LiTはピアニスト信夫正彦君とギタリスト江口正祥君を迎える。
この3人でやるのは初めてだ。それぞれと2人でやってきたアレンジが微妙に違うから、統一したアレンジにすることと、新しくやる曲を決めることで、音資料をまとめていった。
信夫君との出会いは印象的だった。
彼がバンドを組んでいる黒水伸一君とジョイント・ライヴをやったのが2016年3月。信夫君が見に来て「よかったら聴いてください」とCDをもらった。
俺の理想のピアニストは、ブルース・スプリングスティーンのE Street Bandでピアノを弾くロイ・ビタンだ。弾けるようなフレーズも好きだが、〈Racing In The Street〉で奏でる淡々としたピアノが大好きだ。歌心がなければこんなピアノは弾けない。
これまで何人ものキーボーディストとライヴやレコーディングをやってきたが、どうしても最後の最後でピンときていなかった。
ライヴが終わった深夜、もらったCDを聴いた。立ち上がって叫んだ。
「とうとう見つけたぞ!」
その年の12月には、彼をサポートに迎えたライヴをやった。
2017年になり、河村博司君をプロデュースに迎えてアルバム《はるか》のレコーディングに入った。ピアニストを誰にするかという話になり、何人かの名前が挙がった。河村君に聞いた。
「信夫正彦ってピアニスト知ってる?」
「そうだ! 忘れてた!」
こうして信夫君はレコーディングに参加し、ピアノがいなかったWonder 4はWonder 5になった。
バンド・メンバーとして、ソロのサポートメンバーとして、もう5年の付き合いになる。彼との音楽は、まだまだ続く。
江口君との出会いは、また次回。
photo : Yukari Watanabe
コメントフォーム