デザイナーのコヤマ君と、次回作のデザインについて話し合う。ちょっとしたヒントだけを元にしたミーティングだったが、恐いくらい目ざす方向が同じで驚いた。これが21年一緒に仕事をしてきた強みだ。来月には撮影に入る。
ミーティングがスムーズに終わったので、四方山話を。
アントン・コービンという写真家の話をした。映画『アントン・コービン 伝説のロック・フォトグラファーの光と影』を見たのがきっかけだ。その名前は知らなかったが、たくさんのロック・シンガーの写真は見たことがあった。「そうだったのか」と点と点がつながった。
度肝を抜くポートレートばかりだが、トム・ウェイツのこの写真にはたまげた。写真集の表紙だ。顔のシワは人間の名刺だと突きつけられた。
もっとも、俺とコヤマ君が次回作でやろうとしていることは、全然違うベクトルのものだ。
アントン・コービンは映画監督もしていると知り、「誰よりも狙われた男」を見た。ハードな内容だが、ひとつひとつのシーンの構図が美しい。エンディングで流れてきたダミ声は、やはりトム・ウェイツだった。