放射線治療を始め、数ヶ月で味覚障害をおこし、スキン・ヘッドになった。それでも相変わらず大酒を飲んで、しゃべりまくっていた。
喉の手術をすれば、話せなくなるだけではなく、サックスも吹けなくなる。しかし入退院をくり返しながらの放射線治療だけでは、病状をおさえることはできなくなっていった。
去年の8月4日、アルバムに収録する〈New Days〉でサックスを吹いてもらった。
8月12日、天窓comfortへの出演。
そして9月16日、俺の誕生日のライヴでサックスを吹いてもらった。やりたい曲は全部やった。ひさしぶりに〈NO GOOD!〉もやった。
「最後に〈FILM GIRL〉を吹かせてくれ」
そんなSMILEYのリクエストにも応えた。
その夜の打ち上げでも、飲んだくれて大騒ぎした。
翌週、SMILEYは喉の摘出手術をした。
それから何度かSMILEYと飲んでいる。声は出ないが、俺や友人たちがお見舞いにプレゼントしたタブレットに文字を打ち込んだりしながら、元気に飲んでいる。
35年。俺の隣にはSMILEYがいた。
たとえサックスが吹けなくても、俺たちはいつだって、最高のチームだ。
Photo : Junji Naito