2025年10月28日火曜日

『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』

  1998年、ロンドン、ナショナルギャラリー。膨大な数の作品が展示されている美術館。
 ある部屋に入ると、一点からギラギラとオーラを感じた。ゴッホの『ひまわり』だった。絵の前で立ちすくんでしまった。
 ナショナルギャラリーは入場無料。3ヶ月の滞在の間、何度も何度も足を運び、絵の前に立った。

 東京都美術館で、『ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢』を見た。ゴッホの展覧会は日本ではよく開催される。今回は家族をモチーフにしたものだった。
 生地オランダでの作品は、重苦しく暗いものが多かったが、パリに移り住んだ頃から、浮世絵などの影響もあってか鮮やかな色彩に満ちていく。今回の展示にはなかったが、精神を患っていく晩年の作品には狂気すらにじむ。
 
 生前、1枚しか作品が売れなかったゴッホを、弟のテオが支え続けた。家族の繋がりだけじゃなく、画商だったテオがゴッホの才能を発見したからこそだろう。
 ゴッホが37歳で死去した半年後、テオは病死。その後、テオの妻のヨーと息子のフィンセント・ウィレムはゴッホの作品を守り続け、ゴッホ財団を設立する。

 ちなみに、原田マハの小説『たゆたえども沈まず』『リボルバー』(小説)『ゴッホのあしあと』(エッセイ)は、どの作品もゴッホの等身大が浮かび上がってきて超おもしろかった。

 亡くなった後に認められたという点で、ふと宮沢賢治を連想した。賢治も37歳で没している。


Photo : Takuji


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